日本西洋古典学会発足の頃
古典学会設立の機運は1948年頃より起こり、1950年10月、京都大学文学部において設立大会が開催された。第二次世界大戦後の復興期、第二次ベビーブームなどとも重なり、新しい大学や学会が簇出した時代のことである。大会はこの後、東京大学(1951)、奈良女子大学(1952)、慶応義塾大学(1953)、同志社大学(1954)、早稲田大学(1955)、神戸大学(1956)と回を重ね、「西洋古典学研究」創刊号は1953年7月に刊行された。正式の会員名簿は1951年版(125名)が最も古いが、それより前、賛助者の名簿と思われる1948年版には68名が記載され、学会の実質を担われた方々の他に、神谷美恵子、河野與一、和辻哲郎などの御名前も見える。ここに、学会設立の頃の事情が時とともに忘れ去られることを恐れて持たれた座談会の記録があるので、4回に分けてご紹介したい。(出典、「田中美知太郎全集」月報、第21、24、19、25巻(1989.8~1990.2))。
「座談会(1)」の中に小さな誤りがありました。記事の中程、昭和26年8月現在の会員名簿の最後の二ページに「会規」が記されている、というのは正しくは「会記」でした。その「会記」および、次ページの「後記」を掲げます。