Q&Aコーナー

質問

こんにちは。
古代ギリシャの抒情詩について質問させていただきます。

ヘレニズム時代のガダラ出身のメレアグロスが編んだ「花冠」というアンソロジーに何篇の詩が収録されていたかを知りたいのですが、調べることができずにいます。ぜひお力を貸していただきたく、よろしくお願いいたします。

(質問者:たちねぶたくん様)

回答

 ご質問有難うございました。これは『花冠』というより『ギリシア詞華集』の説明になるかと思います。古くはメレアグロス(シリアのガダラ出身。前100年頃活躍)が前7世紀以降の詩人46名の作品に自作の詩(現存するのは134篇)を配して『花冠』という名の詩集を編みました。その後同じような詩選集が幾つも現れ、10世紀の学者コンスタンティノス・ケファラスがそれらを集成し配列を人名からテーマ別に改めて、『アントロギア・パラティナ』(Palatine Anthology.プファルツ選帝侯図書館蔵)15巻を編みます(未完)。それに14世紀の学僧マクシモス・プラヌデス編の詩集から約400篇を採って16巻としたのが今日『ギリシア詞華集』と呼ばれるものです。『花冠』は『アントロギア・パラティナ』の中核を成しますが、『花冠』そのものは伝わらず、僅かに残ったパピルスは抜粋版と考えられますので、『花冠』の正確な姿は不明とすべきかもしれません。

 『ギリシア詞華集』は300名以上の詩人の手になる約4500の詩を収め、その中210篇は沓掛良彦選訳『ピエリアの薔薇』(白馬書房、書肆風の薔薇)で味わうことができます。沓掛氏は今、その全訳(京都大学学術出版会、西洋古典叢書)に取り組んでいます。

追記 沓掛良彦訳『ギリシア詞華集』(1~4)は2015年7月~2017年2月に刊行されました。

(回答:TN)