学会掲示板
国際西洋古典学会連合(FIEC) 第30回総会に出席して
FIECが開催する会合には5年ごとの大会(congress)と,大会時およびその2年前に行なわれる総会(general assembly)がある.大会が1週間にわたって多種多様な発表,セッションを行なうのに対し,総会は加盟団体代表が出席して運営に関する審議を行なう.今回,南イタリア,バーリにおいて開かれたのは総会のみである.9月6日に執行部のみによる事前打ち合わせ,9月7日午前中に総会,午後に講演会,夜に懇親会,9月8日にターラント国立考古学博物館見学エクスカージョンという日程であった.
総会出席者リストを見ると,加盟団体は82を数えるが,今回不参加の団体も多い.本学会からも大会への参加はほとんど欠かさずなされていたと思うが,総会のみへの出席があったかどうか定かでない.結局,出席者は50人弱であった.2014年ボルドー大会(8月25-30日)準備状況の報告の他,主要議題は財政,および,活動の輪を広げて加盟団体を増やすということで,年会費(現在110ユーロ)について,また,インターネットの活用についての議論に時間が割かれた.どこでも同じような問題があるという印象だった.身近なところでは,中国,台湾には現在加盟団体がなく,これまで働きかけもなされているものの,良い結果が得られていないということで,接触ルートをもつところがあれば,協力願いたい,ということだった.
講演会はバーリ大学との共催(従って,大学関係者も多数来聴)で,Il mondo classico e le sue tradizioniという題目のもと,4人の講演者がそれぞれ40分の持ち時間で話し,質疑応答はなかった.詳細は省略する.
総会は基本的に代表懇親の場であるようだ.ライトアップされた塔の見えるホテル屋上での懇親会の他,総会前に歓迎のコーヒータイム,総会後にランチ,エクスカージョンでも博物館の中庭を囲む回廊でランチという具合で,南イタリアの食事を堪能できた.2014年大会には逸身委員がNumeri innumeri: music and meter in the classical worldと題するセッションのパネリストとして招待され,学会代表として総会にも出席する.その次の総会(オランダで開催予定,2019年大会は英国の見込)にも,社交術を心得る健啖の方が出席されればよいと思う.
(高橋宏幸)