Q&Aコーナー
質問
初めて質問させていただきます。専門家ではありませんが、若いころからプラトンによるソクラテスの対話篇を読んでいます。そこで、どうしても気になってしまうのですが、ステファヌスナンバーの「1」はどこにあるのでしょうか?
エウテュプロンが2Aから始まっているので、どうしても気になってしまいます。くだらない質問かとお叱りを受けるかもしれません。申し訳ありませんが、ご教示いただければと思います。
よろしくお願いします
(質問者: Gaku様)
回答
ご質問ありがとうございました。
今日「プラトン対話篇」刊行には、テクストでも翻訳でもステファヌス版の頁付けおよびその各頁を10行毎に区切ったA-Eの記号を欄外に付すのが原則になっていますね。これは相互参照や論文などでの当該個所指示にとても有益な慣行です。
Gakuさんはすでにご存じのことかとも思いますが、蛇足を承知で記しますと、ステファヌス版「プラトン全集」は16世紀フランスの出版業者H. Etienne (ラテン名H. Stephanus)によって1578年に刊行されたもので、それが西欧世界に広く流布したことから、プラトン原典の標準版としての役割を果たすことになり、上述のような慣行が定着しました。
さて、ご質問の件ですが・・・
本書は三巻本として出され、『エウテュプロン』は第1巻の最初に配されています。それが2Aという頁付けから始まっているのは、その1頁目は扉になっていて、本文は2頁目から組まれているからに他なりません。
ちなみに、三巻本ですから、「プラトン全集」にはステファヌス版の頁付けとして同じ数字が三度出てくることになります。ただし、第2巻、第3巻はそれぞれ冒頭に序文のようなものが付いていて、作品本文は、前者は11頁から、後者は17頁から始まっていますので、偶々ながら『エウテュプロン』の頁付け番号が他の作品のものと重複するのは最後の数頁のみです。
(回答者:K. U.)