コラム

泰田伊知朗:台湾における西洋古典学の紹介─台湾大学での西洋古典学ワークショップに参加して

 9月8日、台湾大学にて「European Classical Studies in Taiwan 2012 Workshop」が開催されました。昨年、台湾大学外国語文学学科のVassilis Vagios教授が、台湾で西洋古典学を専門とする人々に呼びかけて会合を開き、その集まりがもととなり今回のワークショップが開催されました。全ての参加者は15名ほどで、私を含め7人が発表しました。「ロゴスとアレテー」というテーマが設定されていたため、発表もそれに応じたものが殆どでしたが、中には映画の中で描かれる西洋古典文学をとり上げたものもありました。私は「『ホメロス讃歌』の校訂本の歴史」という題目で発表し、会のテーマと殆ど関係がなかったのですが、発表後は色々と指摘をしてもらい、非常に有意義な時間を過ごせたと思います。 Vagios先生が、「友達同士で話す感じで時間も気にせずやろう」とおっしゃった通り、会はとても和やかなリラックスした雰囲気で進行しました。来年、再来年とこの会を続けていく予定だそうです。

 台湾にはこの集まり以外にも台灣西洋古典、中世紀暨文藝復興學會(Taiwan Association of Classical, Medieval, and Renaissance Studies)と呼ばれる学会があります。毎年例会が開かれ、第6回目の今年(2012年)は10月26、27日に、台湾中部にある東海大学で開催されます。タイトルからもお分かりのように、西洋古典に限らず、中世、ルネサンスの研究者たちが集います。例年台湾人の発表者は半分程度で、他は欧米および韓国、中国、そして日本などからの研究者です。

 日本西洋古典学会のホームページでは約60年前の学会発足当時の様子をうかがうことができますが、ちょうど今、台湾の西洋古典学もそのような時期を迎えているのかもしれません。

(今回のワークショップのプログラムと摘要は以下のサイトでご覧になれます。)
https://sites.google.com/site/classicstaiwan/home/activities-1/2012-13

(泰田伊知朗)